「よん、暗がり」






















Mommy
あたちくらいとこって苦手なのね。

だって引きずりこまれそうなんですもの。

ずるずる引きずりこまれそうなんですもの。

そして引きずりこまれてもだれもあたちがいなくなったことに気がつかないのよ。

Mommy
もあたちがくらいとこ苦手なの知ってるんでしょう?

だからよふかししちゃだめとか、

くらくなる前におうちにかえりなさいとかって言うんでしょう?

そしてあたちがわるいことしたらまっくらなものおきにとじこめちゃうんだわ!

Mommy
ひどいわ!

あたちがくらいの苦手なの知っててとじこめたんだわ!

Mommy
ひどいわ!

あたちが引きずりこまれたって知らないんだわ!


Mommy・・」


あたちMommyがだいじにしてたカップをわっちゃったの。でもじこだったのよ!

あたちはただしょっきだなにしまおうと思ってはこんでただけなのに!

それなのに「あそんでわったんでしょう」だなんて!Mommy ひどいわ!

あたちほめられたくてやったのに。

やったのに・・。



「・・・・ううんちがうわ。」



本当はあたちがカップをおとしたのがいけないの。

だってはこべるって思ったんですもの。ちゃんとしまえるって思ったんですもの。

こういうの「じいしきかじょう」って言うんだわ。


Mommy
はわるくないのよ。

だって
Mommyはだいじなカップをわられてかわいそうだわ。


「かわいそうだわ・・」


Mommyあたちが大人だったら「べんしょう」できるのにね。

でもざんねんなことにあたちまだまだ子どもですもの。

Mommyに何もしてあげられないわ。

だってカップもまともにしまうことができないんですもの。

あたまだってすこしわるいのよ。

知ってるの、あたちのかていきょうしの先生が、あの子はだめですね、っていってたの。

だってあたち、しょうじいってさんすうもよくわからないの。

しかたないじゃない。しかたない。

でもMommyはもっとあたまのいい子がほしかったはずですものね。

そうしたらカップだってわられることなく、

今ごろはしょっきだなの中にあったはずですものね。



Mommy・・かわいそうだわ・・」


Mommyそれからあたちきっとかおだってよろしくないのよ。

すきなおとこの子こそまだできないけれど。Mommyみたいにびじんじゃないもの。

知ってるの、あたちきいちゃったんですもの。

おばあちゃまが、あなたににればかわいいこだったのに、っていってたの。

だってあたちかみのけもじぶんできれいにはできないのよ。

しかたないじゃない。しかたない。

でもMommyはもっとかわいくてこぎれいな子がほしかったはずですものね。

そしたらいつもひとりでおこうちゃをのまなくたってすむんだわ。

かわいくてじょうひんなおんなの子とふたりでのめたはずなんだわ。


Mommy・・」


Mommyかわいそう。

あたちがむりょくだったからいけないの。

あたちがおばかだったからいけないの。

でなきゃだいじにしてたカップも今ごろぶじで、

きっとMommyはおいしいおこうちゃをのんでいるはずだったのに!

Mommyかわいそう。

でもあたちはなにもしてあげられないわ。

だってあたまもわるいし。かおもひどいし。

Mommyかわいそう。

あたちなにもしてあげられないわ。





「だって引きずりこまれちゃったんですもの。」