「よん、暗がり」
Mommy あたちくらいとこって苦手なのね。
だって引きずりこまれそうなんですもの。
ずるずる引きずりこまれそうなんですもの。
そして引きずりこまれてもだれもあたちがいなくなったことに気がつかないのよ。
Mommyもあたちがくらいとこ苦手なの知ってるんでしょう?
だからよふかししちゃだめとか、
くらくなる前におうちにかえりなさいとかって言うんでしょう?
そしてあたちがわるいことしたらまっくらなものおきにとじこめちゃうんだわ!
Mommy ひどいわ!
あたちがくらいの苦手なの知っててとじこめたんだわ!
Mommy ひどいわ!
あたちが引きずりこまれたって知らないんだわ!
「Mommy・・」
あたちMommyがだいじにしてたカップをわっちゃったの。でもじこだったのよ!
あたちはただしょっきだなにしまおうと思ってはこんでただけなのに!
それなのに「あそんでわったんでしょう」だなんて!Mommy ひどいわ!
あたちほめられたくてやったのに。
やったのに・・。
「・・・・ううんちがうわ。」
本当はあたちがカップをおとしたのがいけないの。
だってはこべるって思ったんですもの。ちゃんとしまえるって思ったんですもの。
こういうの「じいしきかじょう」って言うんだわ。
Mommyはわるくないのよ。
だってMommyはだいじなカップをわられてかわいそうだわ。
「かわいそうだわ・・」
Mommyあたちが大人だったら「べんしょう」できるのにね。
でもざんねんなことにあたちまだまだ子どもですもの。
Mommyに何もしてあげられないわ。
だってカップもまともにしまうことができないんですもの。
あたまだってすこしわるいのよ。
知ってるの、あたちのかていきょうしの先生が、あの子はだめですね、っていってたの。
だってあたち、しょうじいってさんすうもよくわからないの。
しかたないじゃない。しかたない。
でもMommyはもっとあたまのいい子がほしかったはずですものね。
そうしたらカップだってわられることなく、
今ごろはしょっきだなの中にあったはずですものね。
Mommyそれからあたちきっとかおだってよろしくないのよ。
すきなおとこの子こそまだできないけれど。Mommyみたいにびじんじゃないもの。
知ってるの、あたちきいちゃったんですもの。
おばあちゃまが、あなたににればかわいいこだったのに、っていってたの。
だってあたちかみのけもじぶんできれいにはできないのよ。
しかたないじゃない。しかたない。
でもMommyはもっとかわいくてこぎれいな子がほしかったはずですものね。
そしたらいつもひとりでおこうちゃをのまなくたってすむんだわ。
かわいくてじょうひんなおんなの子とふたりでのめたはずなんだわ。
「Mommy・・」
Mommyかわいそう。
あたちがむりょくだったからいけないの。
あたちがおばかだったからいけないの。
でなきゃだいじにしてたカップも今ごろぶじで、
きっとMommyはおいしいおこうちゃをのんでいるはずだったのに!
Mommyかわいそう。
でもあたちはなにもしてあげられないわ。
だってあたまもわるいし。かおもひどいし。
Mommyかわいそう。
あたちなにもしてあげられないわ。
「だって引きずりこまれちゃったんですもの。」